【鉄道土木構造物】橋脚の耐震補強を簡単に解説

【鉄道土木構造物】橋脚の耐震補強を簡単に解説鉄道

地震・雷・火事・オヤジ

現在コロナで世界が怯えていますね
ただ、コロナだけではありません!
我々の生活にはありとあらゆるリスクが潜んでいます・・・

日本の4大怖いものといえば、冒頭の4つですね
特に地震は、壊滅的な影響広範囲に及ぼす点から、日本人は常に地震と向き合わざるを得なかった歴史があります

今回は、そんな地震大国日本において、最も重要なインフラの1つ「鉄道」を支える、鉄道土木構造物との関係について、

  • 概要(地震被害の大きさや、そもそも鉄道土木構造物とは?)
  • 耐震補強の考え方
  • 耐震補強の工法

をテーマにご紹介致します!

 

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概要

鉄道土木構造物について、以下のことを簡単にご紹介します

  • そもそも、鉄道土木構造物とはどんなものか
  • 今までどのような地震被害を受けてきたのか
  • どのような歴史があるのか

鉄道土木構造物とは

そもそも、鉄道土木構造物にはどのようなものか、についてです

簡単に言うと、鉄道を支える基盤の様な存在で、
車両の下の、線路の下の、橋・土などが該当します

具体的には、次のような構造物になります

  • ラーメン高架橋
  • 橋脚
  • 盛土
  • トンネル

その中でも今回は、鉄筋コンクリート製の橋脚をメインにご紹介していきます
(詳細は後述)

色々書くと長くなりすぎるので・・・(汗)

ちなみに、

 

盛土は、同じ盛土でも高さが全然違います
後者の湖西線の方は、盛土が高く、安定感に欠ける印象を受けますね

トンネルの王者、青函トンネルです

鉄道土木構造物の地震被害

【鉄道土木構造物】橋脚の耐震補強を簡単に解説

wikipedia

写真は、阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)における被害の様子です
鉄道では、JR神戸線・阪急神戸線などで、甚大な被害がありました

地震大国であり鉄道大国でもある日本では、地震被害による鉄道災害を未然に防ぐことが重要です

画像の通り、鉄道構造物だけでなく周辺の建物や、下を走る道路を妨げる、等の二次被害も起こし得ます

今まで日本は大きな地震被害を何度か受けてきましたが、今後も、「首都直下型地震」や「南海トラフ地震」が起こるだろうと、予測されています

鉄道土木構造物の歴史


1893年(明治26年)に竣工した、碓氷峠の碓氷第三橋梁、通称「めがね橋」も、歴史あるものの1つです

日本の鉄道は、明治維新になってから海外から導入されており、以後全国に普及していきます
土木構造物は100年スパンで考えるくらい、非常に物持ちがいいです
そのため、現在使われているものでも、昭和初期・大正など非常に歴史あるものが多いです

当時は大地震を経験する前なので、設計時に要求される耐震性能は当然低くなっています
そのため、現在求められる性能を満たさない構造物が数多く現存しています

ちなみに現在も、大地震が起こるたびに、要求性能は改定されていっています
費用面・技術面の課題もあるので、どうしても自転車操業みたいになっているのかな、と思っています

このような経緯のため、今後起こり得る巨大地震には、歴史ある鉄道土木構造物は耐えることができません
ですので、順次、耐震補強が行われている、という状況です

今回は、そんな耐震補強がどのように行われているか調べたので、簡単にご紹介します!

参考

筆者は大阪在住ですが、JR西日本では次のように耐震補強を進めており、鉄道各社それぞれが進めているところです

地震対策の進捗とさらなる取り組み:JR西日本
JR西日本ホームページ

 

橋脚の耐震補強の考え方

冒頭で触れたとおり、今回は鉄筋コンクリート製の橋脚に注目してご紹介していきます

橋脚とは

橋脚は、桁を支える土台の役割をし、主に河川などで多く見られます
橋脚は、基礎と躯体から成り立ち、基礎は多くは地中に埋まっています

橋脚には次のような種類があります

  • 張出し式(T形)橋脚
  • 壁式橋脚
  • ラーメン式橋脚
  • 柱式橋脚

ただ、耐震補強に関する以下の考え方は、いずれの種類においても同じです


壁式橋脚


柱式橋脚

破壊モード

地震被害が大きいと、橋脚は壊れます
その壊れ方として、次の2つがあります

  • せん断破壊
  • 曲げ破壊

どちらの壊れ方をするか?ということを破壊モードと呼びます

せん断破壊は危険な壊れ方なので、壊れるなら曲げ破壊の方が望ましい」というのが、耐震補強の基本的な考え方です

せん断破壊

日本コンクリート工学会

せん断破壊は、阪神淡路大震災で印象的な壊れ方をしたように、
柱が斜めにスパッと切れるような破壊の仕方です

せん断破壊には、せん断力という力が効いています
1つの押す力が加わることで、モノが切れてしまうイメージです
包丁で食材を切るイメージがわかりやすいかなと思います

鉄筋もコンクリートも切れていますね
粘りがなく、急激に壊れてしまうため、非常に危険です

曲げ破壊

日本コンクリート工学会

曲げ破壊は、せん断破壊とは違い、
主に鉄筋が粘って粘って・・・壊れる、みたいな破壊の仕方です

曲げ破壊には、曲げモーメントという力が効いています
先述のせん断力に加えて、力が作用する場所までの距離も関係してきます
消しゴムの端を引っ張ると、消しゴムに亀裂が入る、みたいなイメージがわかりやすいかなと思います

構造物は破壊する際に、どちらの壊れ方をするか、コンクリートと鉄筋の割合や、柱の高さ等によって決まっています

破壊モードの例

3つの例をもとに、破壊モードを考えてみます

例1)コンクリートの割合が多い場合

基本的に、せん断破壊となります

曲げ破壊は主に鉄筋が粘って、鉄筋が伸びて・・・破断する、といった壊れ方です
コンクリートの割合について、極論、鉄筋を0にすると、曲げ破壊への耐力が0に近くなってしまいますね

このことから、せん断破壊になる場合が多いことがわかります
ですので、鉄筋が最適量になるよう、設計基準で定められています
(最小鉄筋量が定められています)

例2)鉄筋の割合が多い場合

基本的に、曲げ破壊となります

曲げ破壊は主に鉄筋が粘って、鉄筋が伸びて・・・破断する、といった壊れ方です
そのため、曲げ破壊になる場合が多いです

ただ、鉄筋が多すぎると、鉄筋が効き始める前にコンクリートがグシャリと壊れてしまうこともあります
ですので、鉄筋が多すぎてもダメです
(最大鉄筋量が定められています)

例3)柱が高い場合

基本的に、曲げ破壊となります

例えば、消しゴムをコンクリートの柱だと考えてみます
消しゴムは使う際、端を持つのではなく、消す所の近くを持ちませんでしたか?
なぜなら、消しゴムの端を持つと、消しゴムに亀裂が入るからです
このように、感覚的に、高いものより低いものの方が安定感があるように感じるのではないでしょうか?

曲げモーメントは、せん断力×高さで求まります
そのため、高さが大きいと、曲げモーメントが大きくなります
ここからは、更に細かく見ていきます
(飛ばして頂いても構いません)

 

 

この図では、モデル①と②を比較しています
モデル①の方が柱が高く、どちらにもPという地震による力が同じだけ働いています

このとき加わる力は次のようになります
・せん断力は同じP
・曲げモーメントは、青色で示した①と②(P×それぞれの高さ)

曲げモーメントは、柱の高さの分①の方が大きくなりますね(10Pと5P)
一方、せん断力は一定のPです
よって、曲げモーメントによる力が大きくなる分、曲げモーメントによって壊れやすくなります

以上から、曲げ破壊になりやすくなります

破壊モードと震度

先程の「例3」を深堀りする話題になります
例1、2と3でなんか違和感はありませんか?

例1、2は、せん断力・曲げモーメントに対する耐性の違いに着目していますが、
例3は、作用する力の大きさに着目しています

例3は曲げ破壊だから安心~と思いますが、
地震による力Pが小さくても破壊してしまいます

地震によるPが小さいというのは、震度が低いことを意味します
壊れるなら曲げ破壊の方がいいですが、そもそも壊れないことがベストですね

そのため、破壊モードの検討と同時に、震度の検討も行っていく必要があります

JRの記事

JR東日本では、次のような発表がありました
(古い記事ですが・・・)

まずは、曲げ破壊するよう耐震補強して、次に震度の検討も行っているようですね

https://www.jreast.co.jp/press/2009/20090405.pdf

 

橋脚の耐震補強工法

先程、破壊モード・震度の2つの検討があるとご紹介しましたが、
今回は、破壊モードに関する補強をご紹介します

橋脚に加わる力

先程の例3ではPと呼ばれた力のことです

実際には、地面が揺れることにより橋脚が揺れ、それにより、桁から慣性力を受けます
橋脚自信が、桁にあたりにいくイメージですね

耐震補強は、この慣性力に耐えるよう設計されていきます

橋脚の補強箇所

橋脚は、基礎や躯体と呼ばれる範囲がありますが、
施工性の観点から、躯体のみが耐震補強がされているケースも多いです

基礎は地中に埋まっているため、補強が大変だからだと思います
そもそも、鉄道は日本中にあるので、躯体の補強だけでも大変そうですよね

なお、躯体も一部は地中に埋まっているので、
その分は掘り起こす必要があります

耐震補強工法

躯体の耐震補強は、色々なやり方がありますが、主に次のものがあります

いずれも、橋脚躯体に何かしらを巻立てる手法となっています

  • 鉄筋コンクリート巻立て補強
  • 鋼板巻きたて補強
  • 繊維シート巻立て補強

http://www.pwrc.or.jp/yougo_g/pdf_g/y0912-P054-054.pdf

鉄筋コンクリート巻立て補強


橋脚の上の方と真ん中とで、色の違いがわかるでしょうか・・・?

橋脚の耐震補強としては、もっとも一般的なものといえます

鉄筋コンクリートでできた橋脚の周りを、もう1週鉄筋コンクリートで巻立てる、といった考え方です
これにより、鉄筋やコンクリートを適量追加することができるので、破壊モードをある程度自由に変えることができます

施工・維持管理が容易な一方、自重の増加や、厚さの増加による周辺への影響などがデメリットとなります


このように河川内の橋脚だと、川の断面積に支障してしまいます

鋼板巻立て工法


※橋脚ではなく、ラーメン高架橋ですが、、

先述の鉄筋コンクリートの代わりに、鋼板を巻立てる手法です
鉄筋コンクリートより軽く・薄くできる一方、鋼板が錆びたりするのでその対策等維持管理の手間が増えます

橋脚の補強で用いられるケースもありますが、多くは写真のようにラーメン高架橋で採用されています
町中の至る所で、鋼板が巻かれて白くなった柱を見ることができます

繊維シート巻立て工法

繊維シートは、鋼板よりさらに薄く軽いもので、手作業での巻立ても可能となっています
一方、鋼材ほどの変形性能がないため、曲げモーメントへの抵抗が小さい、というデメリットがあります

 

まとめ

今回は、鉄道土木構造物における

  • 地震被害の大きさ
  • 耐震補強の必要性
  • 耐震補強の考え方

について、ご紹介してきました

何気なく利用している鉄道にも、こんな事が検討されているんだな、ということが
知って頂ければ幸いです

端折っている点、至らない点等あるかもしれません
なにかあればご指摘頂ければと思います

最後までご覧いただきありがとうございました!

 
鉄道コム

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